心筋梗塞

 心筋梗塞とは、冠動脈が閉塞することにより心筋に栄養と酸素がいかなくなり壊死することによって起きる病気です。壊死に陥った心筋は収縮する力がありませんから心臓の働きが悪くなります。冠動脈が閉塞した直後の状態を急性心筋梗塞と呼びます。急性心筋梗塞は最も痛みの激しい病気の代表で、胸が締め付けられるように痛くなり、万力で絞められたようだとか、象に踏まれたように痛いと表現される患者さんもいるくらいです 。痛みはとても強くニトログリセリンは効きません。痛みを和らげるためにモルヒネなどの麻薬を必要とすることもあります。痛みは、その程度がつよいだけではなく死の恐怖感を伴うことが特徴です。
 冠動脈がより根元の方で閉塞し、多くの心筋が壊死に陥ると、心臓のポンプとしての機能がとても悪くなり、全身で必要なだけの血液を送り出すことができなくなります。これを心不全といいます。急激に心不全に陥り全身状態に破綻をきたし、血圧を維持できない状態を心原性ショックと呼びます。きわめて重篤な状態で生命の危機に瀕しているといえます。
 また、心筋梗塞に陥ると脈の乱れ、つまり不整脈も起こしやすくなります。この不整脈の最も極端な場合が、「心室細動」と呼ばれるもので心臓は止まっているのと同じ状態になります。電気ショックを用いて心室細動を取る処置をしなければ死に至ります。この処置を除細動とよびます。
 心臓は心筋によって作られた袋状の臓器ですが、梗塞をおこして壊死になった心筋がもろく穴があいてしまうことがあります。これを「心破裂」と呼びますが、一旦心破裂に陥ると心臓外科で手術をしても救命することは極めて難しい状態になります。


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