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68歳男性Y.Sさん

1.ご職業は何ですか?

無職

2.心筋梗塞の発症日、既往歴はいつですか?

発症日は1年前(2006年)、既往歴は高血圧、前立腺肥大

3.喫煙歴は?

以前に吸っていたが、現在は禁煙しています。

4.心筋梗塞の発作はいつ、何をしているときにおこりましたか?

睡眠中、午前2時ごろより突然胸が急に痛くなりました。

5.その発作は具体的にはどのようなものでしたか?

持病で肋間神経痛がありますが、同程度以上の強い痛みでした。

6.急性心筋梗塞を発症される前になにか予兆のようなものはありましたか?

①約4ヶ月前(平17年11月22日)大阪での宴会の帰り、電車の中で座っていても、しんどさと暖房の暑さで耐え切れず、京都まで三回電車を降りてベンチに休んでは帰った。②約3ヶ月前、夜半に一時的に左手、左足が痺れて麻痺した。(翌日近医受診)

担当医からのコメント

この症状が心筋梗塞の予兆であったのかどうかは定かではありませんが、宴会などで生活が乱れていると、動脈硬化が進行しやすくなり、また血液が固まりやすくなることがわかっています。

7.病院を受診し、どのような検査をうけましたか?検査について医師からどのような説明をうけましたか?

① 翌日、近くの石野病院で早朝に検査(MRI)を受けました。結果は頭の血管の末端で脳梗塞の跡が見られるが、たいしたことは無く、他も異常が無いとの事でした。②発症の2日前に掛かりつけの医院の先生に心電図と心臓エコーの受検をしましたが、特に異常は無いとの事であり、強い痛み等異常が出たら、すぐ連絡するよう説明を受けました。

8.病院ではどのような治療をうけましたか?治療について医師からどのような説明をうけましたか?

カテーテルによるステント挿入の手術を受け、病名は急性心筋梗塞との説明を受けました。

9.病院に入院中に、あるいは退院後に一番大変だったことはなんですか?それをどうやって解決してゆかれましたか?

気候の変化によって、持病の肋間神経痛による痛みが出る都度、また心筋梗塞ではないかと心配になり、トラウマ現象が続きましたが、約一年を過ぎた時点頃より少しずつ薄れてきつつあります。

担当医からのコメント

心筋梗塞を起こした患者さんで、退院後も軽度の胸部症状と、また心筋梗塞を再発するのではないかという不安に悩まされる方がいます。このような患者さんは全体の5割かそれ以上認められ、また中には睡眠薬や安定剤などの薬物治療が必要となる場合もあります。それまで元気に社会生活を送っていた方が、心筋梗塞という命を脅かす疾患に罹患され、緊急手術や集中治療管理などをうけることは身体的のみならず、精神的にも相当ショックが大きいことは容易に想像できることです。現在は医療の進歩により、心筋梗塞を発症しても治療が早期に行えた場合は、身体的なダメージはほとんど残さないで2週間ほどで退院できる症例も増えてきました。しかし、このSさんのように精神的なダメージは2週間では治りません。やはり1年くらいかけて、だんだん解決してくる場合が多いのです。

10.病院に入院して、あるいは退院後に、なにかよかったと思えることがありましたか?

土曜日の早朝に、掛かりつけの医院の先生より京大病院に手術の依頼をしていただき、京大病院に着くと、すぐ検査、そしてすぐ手術を実施して頂きました。

11.心筋梗塞の病気を経験されて、生き方や人生観について変化がありましたか?

『同病相憐れむ』のことわざ通り、一番の心の癒しであり、大切な事だと痛感しました。同病経験者と話し合うことで精神的に強くなっていくのが良く分かりました。

12.実際に心筋梗塞を発症されるまでに、ご自身が心筋梗塞を起こすかもしれないと思っていましたか?

心筋梗塞を発症するとは、まったく思っても見ませんでした。

13.食事や運動について、発症前とあとで変化がありましたか?現在食事や運動についてなにか工夫されていますか?

食事は入院中の食事の量によって胃が小さくなったのか?同量ぐらいの食事の量しか食べていません。運動は以前は月1~2回程度ゴルフと週1回程度のゴルフ練習を止めて、毎週3日(1日2時間)のダンス練習と週1回のコーラス練習をしています。

14.社会に対して、患者様に対して、あるいは医師に対してなにかメッセージがありましたらお答え下さい。また、入院中あるいは現在うけられている医療について不足にお感じになる点や、なにか「こうしたほうが良い」とお考えになる点がありましたらお教えください。

① 胸部に痛みを感じると、再発かなとすぐ頭が感じます。元気になられて心筋梗塞など忘れられた方との経験談や話し合いにより、日々にだんだん恐怖心が薄れてきます。その様な機会を作っていただけたらと思います。②リハビリを週1回5ヶ月間受けましたが、リハビリ施設、規模を拡大して長期間指導してもらえる様にして頂けたらと思います。非健康保険対象者として以前と同様に指導を受けたい希望です。

担当医からのコメント

平成19年4月より、保険診療制度が改訂され、心臓リハビリテーションをうけられる期間がそれまでの5ヶ月から、必要に応じて延長できるようになりました。しかし、各施設(病院)の事情によって、リハビリテーションの部屋が狭かったり運動器具が少なかったりと、患者さんを受け入れるキャパシティが限られています。今回の保険診療制度が改訂は、より多くの患者さんが十分な心臓リハビリテーションを受けられるようになるための第一歩といえるでしょう。


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