UCSD

UCSD研修レポート 京都大学医学部医学科4回生 大谷 俊陽

  今回のマイコースで私はUCSDにあるEvans研で平井先生のご指導の下で一週間研修をさせていただきました。この研修先については大学の授業の間に先生からご紹介があり、海外研修をのぞんでおりました私はそれに参加しようと思いたちました。
  研修に先立って私は、京大の循環器のラボで約二週間ですが、初歩的な実験手技について理論を含め学びました。またこれらでは足りない知識や技能についてUCSDの前に研修させていただいたNYUの研究所で学ばせていただきました。僅かばかりの準備期間ではあるものの、この経験があるかないかでは大いに違いがあったと思いました。
  Evans lab.では心臓の発生段階から注目しており、マウスを胚の状態で実験に用いていたため、本期間の間も毎日マウスが胚を作るかどうかを調べました。私は種々の遺伝子改変マウスがどういった遺伝子を持つかジェノタイピングして調べるお手伝いをさせていただきました。ここでこれまで学んでいたおかげである程度独力で実験を進められました。実験自体の大変さは感じませんでしたが、発生についての研究であるために、マウスの交配のタイミングやそれを見越した世話が必要で、とても自分にはまだまだ把握できないレベルだとに感じました。

  この研究所で見学させていただいたものについて述べさせてもらいます。Evans研ではvolocityという機械を用いて蛍光させて細胞を観察できました。中心体の蛍光が可能であり、細胞分裂の最中であるものをピックアップして観察することが出来ました。
  Volocityは、高性能3Dイメージングと画像解析を行うソフトウェアです。蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、2光子顕微鏡等で撮影したZ-スタック画像をPC上で立体に再構築し、プレゼンテーション用のムービー作成や、蛍光強度の定量や動的変化などを解析することができます。3D描画のために最適化されたアルゴリズムを用いているため、立体化されたオブジェクトを自由に動かせることはもちろん、これまでのソフトウェアでは表示できなかった大きなサイズのファイルでも、精細に描画することが可能です。この機械により三次元で見ることで、二次元的な図ではわかりづらかった分裂最中の細胞を観察、発見することが容易くなったのだそうです。

  この研修において感じたことはアメリカのなかでも研究所は様々だということでした。この研究所の前に私はNYUで研修をさせていただいているのですが、そこでは出勤時間、帰りの時間が割と人によってまちまちで、いわゆる日本人が思い描く外国の勤務体系といった感じでした。一方でUCSDでは朝早くから遅くまでみなさん働いており日本のようだと思いました。
  また海外研修ということもあり、その点でも大いに学習できました。一対一で対話する分に関してはそれほど問題ではなかったのですが、たとえばラボの皆さんで食事をする際、おのおのがしゃべると英語に直すのに時間がかかり一言も話すことが出来ないということが多々ありました。意見があってもそれを話せないというはとても歯がゆく悔しい思いをしました。反射的に英語を話せるように能力をつまなければならないということを痛感いたしました。一方で、海外で働く日本人の先生と話すことで、もし将来的に留学を考えるのであればどのようにしていけばよいか、しなければならないかということについて具体的に考えることができ、大きな収穫となりました。

  最後になりましたが、この研修の手配をしてくださった尾野先生をはじめとする循環器の先生方、そしてなにより現地でご指導くださり様々な話をお教え下さった平井先生に心よりの感謝の意を表します。本当にありがとうございました。


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