75歳男性M.Yさん
1.ご職業は何ですか?
2.心筋梗塞の発症日、既往歴はいつですか?
3.喫煙歴は?
4.心筋梗塞の発作はいつ、何をしているときにおこりましたか?
担当医からのコメント
この方のように、心筋梗塞を起こしても胸の痛みが乏しい場合があります。このような心筋梗塞発作は「無症候性心筋虚血」と呼ばれ、糖尿病をもつ患者さんや、ご高齢の患者さんに多くみられます(この方は75歳とご高齢であり、また糖尿病をもつ患者さんです)。心筋虚血(心臓を栄養している血管が詰まったりすることで、心臓の筋肉に十分な酸素や血液がゆきわたらなくなること)が生じてもあまり痛みを感じないのは、痛みを感じるための自律神経に障害があるからです。一言でいうと、「鈍感」ということです。痛くないのはありがたいこととも言えますが、心臓が弱っている状態に気づかないことは、治療の遅れにつながります。循環不全(息切れ・呼吸困難・むくみ・食欲不振・嘔吐)が悪化して初めて病院を受診した時点ではすでに心筋が壊死(不可逆的障害)に陥ってしまっているため、治療しても後遺症が残る場合があります。この患者さんでは幸いに、血流は僅かながら流れていたために心筋が、治療後は弱っていた心筋も壊死に陥っておらず、数ヶ月で心機能も順調に回復しました。
5.その発作は具体的にはどのようなものでしたか?
6.急性心筋梗塞を発症される前になにか予兆のようなものはありましたか?
担当医からのコメント
自覚症状が無いとは言っても、何らかの体調の変化はあるものです。糖尿病をもつ患者さんや、ご高齢の患者さんではちょっとした症状でも、早めに病院を受診して、心電図などを確認してもらうようにするとよいでしょう。
7.病院を受診し、どのような検査をうけましたか?検査について医師からどのような説明をうけましたか?
8.病院ではどのような治療をうけましたか?治療について医師からどのような説明をうけましたか?
担当医からのコメント
現在日本では狭心症発作や心筋梗塞に対して、一般的には経皮的冠動脈形成術(PCI)が行われています。PCIに関してはこちらを参照してください。
9.病院に入院中に、あるいは退院後に一番大変だったことはなんですか?それをどうやって解決してゆかれましたか?
担当医からのコメント
この方は真面目に運動療法・食事療法に取り組まれている「模範患者」です。ただしご自分のためとはいえ、誰もが「模範患者」になれるわけではありません。学校に通う子供でも、全員「模範生徒」になれないのと同じです。心筋梗塞を患われた患者さんにも、入院中から買い食いしたり、タバコを吸ったりする「不良患者」もいます。我慢することと、気ままに生活すること、どちらを選ぶかは、再発に対する認識の程度のほか、その方の価値観によるところが強いようです。
10.病院に入院して、あるいは退院後に、なにかよかったと思えることがありましたか?
担当医からのコメント
頑張ってよかったです。<スタッフ一同より>
11.心筋梗塞の病気を経験されて、生き方や人生観について変化がありましたか?
12.実際に心筋梗塞を発症されるまでに、ご自身が心筋梗塞を起こすかもしれないと思っていましたか?
担当医からのコメント
ご自身が心筋梗塞を起こすかもしれないと思っていたと答える患者さんはほとんどいません。最近では、動脈硬化の早期発見の検査法が発達しており、たとえ症状が無くても予防治療が重要といわれています。しかし実際のところ症状がない人ではなかなか実感がわかないため、予防治療に積極的に取り組む人は少ないようです。
13.食事や運動について、発症前とあとで変化がありましたか?現在食事や運動についてなにか工夫されていますか?
担当医からのコメント
模範的ですね。
14.社会に対して、患者様に対して、あるいは医師に対してなにかメッセージがありましたらお答え下さい。また、入院中あるいは現在うけられている医療について不足にお感じになる点や、なにか「こうしたほうが良い」とお考えになる点がありましたらお教えください。