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73歳男性S.Iさん

1.ご職業は何ですか?

無職です。

2.心筋梗塞の発症日、既往歴はいつですか?

既往歴は糖尿病、前立腺肥大、肝臓、腎臓です。

3.喫煙歴は?

以前吸っていたが現在は禁煙している。

4.心筋梗塞の発作はいつ、何をしているときにおこりましたか?

夜中2~3時ごろ。痛みはありませんでしたが、胸が圧迫されるような苦しさがありました。

担当医からのコメント

一般的に急性心筋梗塞といえば、胸が激しく痛むものと思っておられる方が多いと思いますが、糖尿病の患者さんやご高齢の方では、症状が軽いことも多く、なかには痛みを全く感じない場合もあるため注意が必要です。

5.その発作は具体的にはどのようなものでしたか?

胸(心臓)が1回20~30分で収まりますが、苦しく圧迫される状態でした。

担当医からのコメント

1回20-30分で収まるとのことですので、繰り返し生じた発作、つまり狭心症の発作についてのご回答だと思います。狭心症の発作は軽いものだと5-10分ほどで収まります。発作の持続時間が長いということは、それ自体が危険な徴候で、もしも短かった持続時間が長くなってきたのであれば、不安定狭心症という心筋梗塞を発症しやすい非常に危険な状態ということになりますので、その時点で本来緊急入院が必要です。

6.急性心筋梗塞を発症される前になにか予兆のようなものはありましたか?

発病前は今考えますと時に発作があったと思います。

担当医からのコメント

多くの急性心筋梗塞は、心臓の血管である冠動脈が徐々に詰まっていきとうとう完全に詰まってしまうという病気の起こり方をするわけではなく、血管の内腔はさほどせまくない血管が血液の塊が生じることで急に詰まって生じるため、狭心症の症状の病歴が無い場合も多く、そのような場合は、実際に心筋梗塞を生じたときの心筋のダメージが大きいとも言われています。

7.病院を受診し、どのような検査をうけましたか?検査について医師からどのような説明をうけましたか?

糖尿病で受診していた病院で検査できず京大病院循環器科木村先生を紹介していただきました。

8.病院ではどのような治療をうけましたか?治療について医師からどのような説明をうけましたか?

受診まで木村先生の指示検査を一通り受け即入院即日99%駄目とのことで、カテーテル施術し、ステントを入れました。

担当医からのコメント

急性心筋梗塞の患者さんでは、冠動脈が詰まった状態が続き心筋の傷害が進行している場合、発症から少しでも早く詰まった血管を血液が流れるようにしてあげることに生死が、また、助かった場合の生活の質がかかっています。つまり、心筋梗塞のダメージを小さくすることができれば、その後の心臓の働きが十分に維持され心臓が弱ることによって生じる息苦しさなどに悩まされることが無いわけです。一般的には、心筋梗塞が生じてから6時間以内に詰まった血管を通せればいくらかの心筋細胞は救うことが出来るとされています。

9.病院に入院中に、あるいは退院後に一番大変だったことはなんですか?それをどうやって解決してゆかれましたか?

入院中糖尿病、腎臓病の検査で2ヶ月(50日入院)の延長入院となり精神的に今後のことが心配されました。

担当医からのコメント

急性心筋梗塞に限らず、カテーテル検査やステント治療のための入院は、冠動脈疾患の患者さんの生活習慣や薬物治療を理想的にすることができる大変良い機会です。短時間で多くの患者さんを診療する外来診療の中で、それを行うのは困難です。ですので、患者さんも良い機会と考えて、病気のことを担当医から十分教えていただき、退院後の理想的な生活習慣を身につけるとともにそれぞれの薬の重要性を理解していただいた上で、治療を受け入れていただければと思います。

10.病院に入院して、あるいは退院後に、なにかよかったと思えることがありましたか?

入院中、主治医先生の温かく、そして的確な回復治療により生き返り感謝してます。

11.心筋梗塞の病気を経験されて、生き方や人生観について変化がありましたか?

お医者様の治してやろうという使命感に、自分も今までにない生活習慣を180度変え、これからの人生を京大病院様に感謝し、毎週リハビリに通っております。

担当医からのコメント

急性心筋梗塞の急性期治療、再灌流治療から冠疾患集中治療室での管理では、治療の責任のほとんどは医師とコメディカルスタッフにあると言えますが、ほとんどの場合には、その期間は短く、その後に、二次予防といわれる既に冠動脈疾患にかかった患者さんの心筋梗塞や脳卒中などの心血管病の予防のための長い取り組みが始まります。その中では、やはり患者さんご自身の意識が極めて重要です。患者さんの協力なしに医師だけでは、十分な二次予防はできません。この方のような意識をずっと持っていただき、喉元過ぎれば熱さ忘れるということがないようにしていただければと思います。

12.実際に心筋梗塞を発症されるまでに、ご自身が心筋梗塞を起こすかもしれないと思っていましたか?

全く心筋梗塞になるとは夢にも思っておりませんでした。

担当医からのコメント

第三者的に考えると、多くの人が心筋梗塞や脳卒中、癌などの病気にいつか罹るわけですが、誰しも自分が明日にでもそんな病気になるとは思っていないものです。本当は、心筋梗塞になってから、そのような病気の再発予防を頑張るのではなく、病気にならないように予防に取り組むことが大切(これを一次予防と言います)です。この方のように糖尿病などの心筋梗塞のリスクとなる因子を持っておられる方には、その意味を十分理解していただくように、私達も努めなければならないと思います。

13.食事や運動について、発症前とあとで変化がありましたか?現在食事や運動についてなにか工夫されていますか?

京大病院様の食事についてかなり厳しい栄養指導をいただき運動指導も受け、毎日実行しております。

14.社会に対して、患者様に対して、あるいは医師に対してなにかメッセージがありましたらお答え下さい。また、入院中あるいは現在うけられている医療について不足にお感じになる点や、なにか「こうしたほうが良い」とお考えになる点がありましたらお教えください。

高度な医療技術と医師先生の一人一人の病状に適した心の通った治療、治してやろうというご努力に多くの患者の感謝と喜びの声が私一人でなく聞かれました。

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