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心房中隔欠損症(ASD)に対するカテーテル治療について

成人心構造疾患部門 心房中隔欠損症に対するカテーテル治療について

心房中隔欠損症とは?

心房中隔欠損症(Atrial septal defect:ASD)は右心房と左心房を隔てる壁(心房中隔)に穴があいている先天性心疾患(図1)で、成人においては最も頻度が高い先天性心疾患です。未治療のASDは右心不全、不整脈、奇異性塞栓、肺高血圧を引き起こし運動能力の低下,呼吸困難,疲労,不整脈などの症状を生じます。通常、肺へ流れる血液と体へ流れる血液の比(肺体血流量比)が1.5を超えると診断された場合、は心房中隔欠損症に対する閉鎖術の適応となります。これは通常なら心臓が100の力を出せば十分なのに、心房中隔欠損症の心臓は150以上の力を出さないと、全身に十分な血を配ることができないのです。このため年齢を重ねるごとに徐々に心臓の負担が表面化し、いずれはほとんどの例で易疲労感や息切れ動悸などの症状を生じます。

 

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心房中隔欠損症の治療が必要な方

治療が必要かどうかは穴の大きさや血液の短絡量によって決まります。 この量は超音波検査などによって推定されます。

 

心房中隔欠損症の治療方法

外科治療が従来の治療法でしたが、近年アンプラッツァー閉鎖栓を用いたカテーテルによる治療が盛んに行われるようになっております(図2)。心房中隔欠損症に対するカテーテル閉鎖術(図3)の大きな利点は、外科手術に比べてはるかに低侵襲であることです。外科手術の場合は開胸し、人工心肺を用いる必要があります。また右心房に切開を入れなくてはなりません。一方、カテーテル閉鎖術ではカテーテルを挿入するために鼠径部を1ヶ所穿刺するだけで済み、治療後は2~3日で退院することが可能です。治療翌日から症状が改善する方も多くおられます。一方で、この治療の欠点はすべての心房中隔欠損症が閉鎖できるわけではないということです。まず、心房中隔欠損症にはいくつかのtypeがあり、カテーテル閉鎖術が可能なのは2次孔欠損型の心房中隔欠損症に限られます。さらに、欠損孔の大きさ、欠損孔周囲の縁(閉鎖栓の挟みシロ)、周囲の構造物との距離によっては、閉鎖栓が安全かつ安定した状態で留置できないと判断され、適応外となることがあります。   当院では患者の皆様にとって最も良い治療を常に考えた治療を行っており、安全で確実な治療を行うように心がけております。

 

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アンプラッツアー閉鎖栓

アンプラッツアー閉鎖栓はナイチノールという特殊な金属(形状記憶合金)をメッシュ状に編み込んで作られており、2重の傘のような形態になっています。欠損孔を閉鎖した時には2つの傘の間のくびれた部分(ウエスト)がちょうど欠損孔にはまり、2つの傘はそれぞれ左房側と右房側から心房中隔を挟み込む形になります。

 

 

 

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治療までの流れ

当院循環器内科水曜日の今井外来が外来診療の窓口になっております。
紹介元の医療機関の紹介状を持参いただく、もしくは直接水曜日の今井外来まで受診いただくかになります。
紹介元となる医療機関様および患者の皆様の問い合わせ先は下記となっております。

 

お問い合わせ

ご不明な点、疑問については下記まで御連絡ください。

  • 京都大学循環器内科 循環器内科医局 ASD治療担当
    病院特定助教 今井 逸雄 (いまい まさお)
  • TEL: (075)751-4255
  • FAX: (075)751-3299

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