Detroit

Detroit研修レポート 京都大学医学部医学科4回生 稲元瑞月

マイコースプログラムの一環としてデトロイトで循環器内科医として働かれている山崎博先生のもとで8/19〜8/26の1週間研修させて頂きました。この研修は3回生の冬学期に行われたS1の講義で天理よろず相談所病院の中川先生と京大病院の尾野先生により紹介をいただき知ることができました。
素晴らしい機会を与えて下さった山崎先生、奥様、中川先生、尾野先生、京大の先生方に心より感謝申し上げます。


1. デトロイトに出発するまで、準備などについて

航空機のチケット、入国審査について、先生の連絡先、気候と服装、研修のスケジュール、注意事項などを記載して下さっている計画書を山崎先生が3月ごろに送って下さいました。それに従って研修の準備は進めました。計画書は本当に細かいことまで丁寧に書いて下さっていて本当にありがたかったです。ただ私は春ごろ上手く先生方と連絡を取ることができず先生方にご心配とご迷惑をおかけしましたので後輩の皆さんは一緒に実習に行く人と定期的になにか先生から連絡は来ていないかなど確認をとることをおすすめします。
航空券のチケットについてですが、私は3月後半にとりました。この時期にとると安くて良い時間に出発、到着できる航空券をとることができます。先生が送ってくださる計画書にも書かれていますが航空券をとる際は、先生にご迷惑をかけないように一緒に実習に行く人と便の時間を合わせましょう。デトロイトを出発する日の便も早朝や深夜でない時間で合わせるようにしましょう。日本からデトロイトまでは成田空港かセントレア空港から直行便が出ています。(セントレア空港も出ていますが便の数は少なそうです。)乗り継ぎはなかなかうまくいかず、予想到着時刻と大きくずれてしまうことがしばしばあるようですので帰りは乗り継ぎ便でもいいと思いますが少なくとも行きはこの直行便を使われるといいかと思われます。
胸部レントゲン写真の陰性結果の提出が求められますので、4月にある健康診断では胸部X線は任意だと思いますが受けておくと後で楽だと思います。6月ごろに結果は受け取れたはずです。その結果をスキャンしてファイルを先生にメールで送りました。
気候ですが体感としては日本の10月くらいの気温で日本と違い湿度が低くカラッとしていたのでとても気持ちよかったです。朝はひんやりと感じるくらい涼しかったです。持って行く服は半袖でいいと思いますが羽織るものが1枚あると朝の涼しい時間を過ごす際に役立つと思います。また病院内で冷房が強めにきいている場所もありましたのでその際にも使えるかと思われます。病院内で着る服装は先生の計画書を参考にされるといいかと思いますが3人とも襟付きのシャツ、黒いズボン、スニーカーといった感じでした。白衣は着ないのでその格好でいろんな先生方や患者さんに出会うと想定して服装の準備はされるといいかと思います。
一応入国審査についてもこちらに記載させていただきます。入国審査は待ち時間が非常に長く30分〜1時間はかかったんじゃないかと思います。私の受けた入国審査は非常に簡単なもので1分くらいで終わったのですが人によってはいろいろ突っ込んで聞かれたとも聞いているのであらかじめ先生が計画書に書いてくださっている文章を覚えて準備しておかれるといいと思います。ESTAは忘れずに取っておきましょう。
また先輩方の研修レポートでもよく書かれていることなのですが、英語の勉強と循環器の勉強はよくしておくべきです。私は正直あまり両者ともに研修前にできていなくてしっかりしておくべきだったと心から思っておりますので後輩の皆さんにはぜひしておいてもらいたいです。
英語に関してですがいくら山崎先生のお宅でお世話になることができるといいましても当然病院やオフィスで日本語を話すことができるのは基本的には山崎先生と一緒に行く実習に行く人のみとなります。病院の先生方や患者さんは皆さんとてもフレンドリーでたくさん話しかけてくださり、また親切にいろんなことを教えてくださいました。ですが私は何といってくださっているかわからないことが多かったので非常にもどかしかったです。聞き取ることさえできれば何かしら返答しもっと会話をすることができたのになあ、と思いましたので日本でどんな方法でもいいと思いますので英語を聞き取る訓練を耳を慣らすくらいでもいいと思いますからしておくことをオススメします。
また循環器の勉強はもう一度ミニポリクリ後にデトロイトに行く前にもう一度しっかりしておくべきです。私は質問をして下さっても答えられないことも多く非常に申し訳なく思うことが多かったです。そんな私でもカテをたくさん見せていただいたり毎日講義を受けることで、どんどん循環器内科に関する知識が広がりカテで今どういうことをしているかが日に日にわかるようになっていくのが身をもって感じることができて充実感でいっぱいでしたが、もしデトロイトに行くまでに基本的なことだけでも一通り頭にいれておけば(本来はそうあるべきだとは思いますが)講義もさらに突っ込んだ内容を教えていただけたり、実習中にいろいろなものを見聞きしてもっとたくさんのことを吸収できたんじゃないかな、と思います。
デトロイト研修前に尾野先生が実施してくださったミニポリクリについて以下にまとめさせていただきます。


ミニポリクリについて (2017/07/24〜2017/07/28)

2週分のポリクリの内容を1週分にまとめた特別プログラムでミニポリクリを実施して下さいました。1週間講義を受けたりカテ見学などをさせて頂いたり、また1人1症例を担当し週の最後に担当患者さんの症例についてそれに関連した論文紹介を交えながら発表するというものでした。5回生の方のポリクリ第8クールの第2週に混じらせて頂きました。
基本的なスケジュールとしましては

8:30 集合、朝のカンファレンス
9:00〜 講義、カテーテル見学、アブレーション見学、検査見学など
講義:動脈硬化、高血圧、心電図、心血管危険因子、急性・慢性心不全、心筋シンチグラフィ、大動脈瘤・血管疾患、肺高血圧、PCIについて
見学内容:カテーテル、運動負荷試験、アブレーション、CCU、心エコー
16:00頃 終了(日によって異なります。)

という形でした。

2週分を1週で行うということもあり、ハードに感じることもありましたが3回生の1〜2月に勉強した内容を思い出すことができ、また実際にカテや検査の様子を見学させていただいたりさらに深く理解することができたので実施して下さって本当にありがたかったです。症例発表については初めての経験でだいぶ苦戦しましたが研修医の先生がご指導くださったり、5回生の先輩方が検査値や心電図の見方、論文の調べ方など教えてくださりました。また発表当日は尾野先生が見て下さり、いろいろコメントや質問を下さりました。
この時の持ち物についてですが、筆記用具、きれいな白衣、パソコン(発表のパワーポイントを作るのに使います。あるいはiPad)、そしてS1の勉強をした際に使った教科書、S1の講義のレジュメを忘れずに持って行くといいと思います。隙間時間で勉強するのに役立ちました。服装はポリクリ生と同じような服装を着て行きました。
 

2. デトロイトでの研修について (2017/08/19〜2017/08/26)

【生活全般について】
研修期間の一週間は先生のご自宅に宿泊させていただきました。1920年代頃からあり、デトロイトの歴史的建造物にも指定されている、お城のように大きくて素敵なお宅です。井川くんと西田くんに一部屋、私に一部屋を貸してくださいました。部屋もとても広くトイレ、洗面所、シャワールームも併設されていました。またお家には屋外には温水機能付きのプールとジャグジー、(夜はプールは青、ジャグジーはピンクの照明がつきました!)、地下室には卓球台とビリヤードがあり楽しませていただきました。(水着は持って行きましょう!)他にもとても広いballroom、図書室、ワインセラーなどもありました。先生のご自宅はまさに宝の山で少しずつ小出しに紹介してくださって最終日までずっと楽しませて下さいました。また、ご自宅の至るところに奥様の作品がありどれも本当に素敵でした。ちなみに先生のお宅はデトロイト郊外の高級住宅地にあり、すぐ目の前にはセントクレア湖という湖が広がっていました。セントクレア湖はヒューロン湖とエリー湖の間に位置していて地図上では小さく見えるのですが海のように広く見えました。また先生のお宅の東側に位置しているので朝日が湖の水平線から昇り、さらに南側の対岸にはカナダが見えるという非常に興味深く、美しい湖でした。(デトロイトはカナダが南側に見えるアメリカで唯一の都市らしいです!)デトロイトと言えば、非常に治安が悪いイメージがあったのですが先生のお宅周辺は本当に治安も良く早めに帰宅した日にはランニングもさせてもらいました。湖沿いに道が通っていてそこを走ることができるのでとても気持ちよかったです。ちなみにデトロイト中心部に行くとちらほら廃墟のような建物があったり街の雰囲気も先生のお宅の周辺とは全く異なりました。ただ最近ではデトロイト中心部にも新たな企業が参入してきたりしていて中心部の状況もよくなってきているそうです。

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到着した日について(8/19)

現地時間で14時半頃にデトロイトに到着し15時半ごろに山崎先生と西田くんと合流できたと思います。空港まで山崎先生が車で迎えに来て下さいました。井川くんは乗り継ぎ便で来ていて最初の便が遅れていて乗ろうと思っていた次の便に乗れなかったようで18時半ごろ到着予定だったので2回に分けて迎えに来てもらいました。ちなみに到着時の先生への連絡ですが空港のfree wifiが使えたのでそれを使って先生に今までやりとりをしていたメールアドレスで連絡をして最終的には電話で行いました。(なぜか空港ではiPhoneのショートメールでは送れませんでした…。)空港からご自宅までは車で約1時間で、ご自宅に到着し美しく荘厳な玄関を抜けると奥様温かく出迎えて下さりました。井川くんを迎えに行くまでの時間で西田くんと私にお家ツアーを行なって下さり、またお茶をしながら先生ご自身のお話、またお家の歴史やお家の周りの四季折々の様子を本や先生作成の写真集見ながらお話ししてくださったり、私と西田くんが硬式テニス部の所属で山崎先生が硬式テニス部であったことから部活の話まで多岐にわたっていろいろお話をしてくださいました。井川くんの到着後、奥様の手料理をみんなで頂きました。ワインも振舞っていただけました。(ちなみに本当は私も西田くんも井川くんを先生と一緒に迎えに行く予定だったのですがお茶をした後2人とも部屋で熟睡してしまい結局先生1人で行くことになってしまいました…。)


到着した次の日について(8/20)

時差ボケを気遣ってくださり遅めに10時に朝食、10時半頃に出発しオフィス、St. Johnを案内して下さり私たちのことを皆さんに紹介して下さいました。皆さんとても温かく迎えて下さいました。それから、ヘンリーフォード博物館、ベルアイル島に連れていって下さいました。この日はご自宅に戻るとプールサイドに晩御飯の用意をして下さっていて先生がBBQの機械でソーセージを焼いてホットドッグを振る舞って下さいました。

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基本的な月〜金曜日のスケジュールは以下の通りです。

6:15朝食
奥様が用意して下さる朝食を頂くことが出来ました。プールに面している朝食用のお部屋があり、そこで基本的に卵料理(スクランブルエッグ、オムレツなど)、シリアル、牛乳、いろいろな種類のフルーツ、オレンジジュース、珈琲を毎朝用意してくださっていて日替わりでウインナー、食パン、ベーグルなども用意して下さいました。ちなみに日の出は6:45頃なので朝食を食べ始める頃は時間はまだ暗かったです。

6:30~40 出発
カンファレンスが7:00から開始される日は6:30に出て、それ以外の日は6:40頃に出発していました。ちなみに、実習初日の朝はセントクレア湖にいって湖の水平線から上がる朝日を眺めてから出発して下さいました。

7:00 オフィスor病院到着

12:00頃 昼食
オフィスにいる場合は外来患者さんが途絶えたタイミング、病院にいる時はカテの合間に頂きました。昼食は製薬会社の人が用意したサラダ、サンドイッチなど(毎日製薬会社の人は訪れていました。なんとお寿司や中華料理の日もありました!)をいただくか、または先生がデリバリーピザを取ってくださいました。飲み物は病院、オフィスともに炭酸飲料、珈琲、ウォーターサーバーが用意されており、私達たちも利用させていただけました。病院の医局のようなところにはコーヒーサーバー、マフィンなどの軽食、果物などもありそこにも連れていって頂けました。

17:00~18:30頃 帰宅
先生のお仕事が終わり次第帰宅でした。お仕事が終わる時間は日によって様々だったように思います。

19:00頃 夕食
夕食も毎日奥様が用意してくださり、とても豪華なダイニングルームで頂きました。日本食を作ってくださり本当に美味しくて毎日楽しみでした。日本の食材はほとんどアメリカでも手に入るそうです。コシヒカリがカリフォルニアで作られているとのことでそれを出して下さったのですが日本のものとほとんど変わりなく美味しかったです。ふりかけも出してもらえました。あと、麦茶を毎日沸かして下さっていていつでも飲めるようにして下さっていました。ちなみにデトロイトはこの時期21時前まで明るく夕食を食べ終わってもまだ明るかったです。
また、製薬会社の方主催のディナーが行われた日もあり私達も連れていって下さり貴重な経験をさせて頂くことができました。肺高血圧についてのプレゼンテーションが行われ勉強させて頂くことができました。

22:00~30頃 就寝
普段の生活ではこの時間に眠くなることはほとんどありませんが、実習中は起床も早く一日フル活動してだいぶ疲れていたのかみんなほぼ毎日気づいたら眠ってしまっていました。

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【実習について】
アメリカの開業体制は日本とは大きく異なっています。まず先生はオフィスを開業されていて(8人のグループで開業されているようです。)そこの外来で患者さんのフォローなどを行なっていて、さらにSt.Johnという大きな病院と契約していてオフィスでみている患者さんに入院や手術が必要となればそこに入ってもらい、回診や手術を行っているようでした。術後の患者さんのフォローもオフィスで行なっていました。今回はオフィス、St.John、その姉妹病院のSt.John Macomb病院で実習は行われました。私達は先生の行く先々についていき、様々なことを学ばさせて頂くことができました。

オフィスでの実習について
オフィスに関しては部屋数の多さにとても驚きました。少なくとも20部屋はあったんじゃないかなと思います。普通日本の外来は医師が部屋にいてそこに患者さんが行くという形ですが、アメリカでは患者さんが部屋で先に待っていてそこに医師が行くという形をとっていることもあり部屋数が多いようです。(部屋には検査の機械もあり患者さんがどのような検査をするかなどで部屋を振り分けているようです。)
外来は基本的に予約制で15分おきに予約が入っていました。患者さんがオフィスに来たかどうかはパソコンでリアルタイムに更新され名前の横にオレンジ、青、緑のいずれかの色がオフィスにいる際は表記され、オレンジは受付で待っているということ、青は検査中、緑は診察待ちを表しているようです。ですので緑に表記されると先生は患者さんのいる部屋に向かいます。予約状況をみると毎回びっしり埋まっていましたが実際には来られない患者さんもいらっしゃいましたが、先生はだいたいどれくらいの患者さんが来るかは把握していらっしゃるようでした。カルテは紙のカルテからこの数年間で電子カルテに移行したそうです。ただ最初の電子カルテは使いにくかったそうで最近使いやすい電子カルテが導入されたとおっしゃっていました。また先生の中にはマイクに喋るとパソコンが自動入力してくれる機器を使っていらっしゃる方もいて非常に精度が高かく修正はほとんどされていませんでした。
外来の見学をさせていただく際は2人ずつローテーションで入らせて頂きました。部屋に入る前にどのような患者さんかを簡単に説明して下さいました。毎回先生は私たちのことを患者さんに紹介して下さり、多くの方が話しかけて下さいました。アメリカでは四年制の大学を卒業後にMedical schoolに通う制度であることや日本人が若く見えることも相まって私たちが医学生であることを聞いて”unbelievable!”と言われることもしばしばありました。(私たち3人は中高生に見えたそうです…(笑))診察をする際は山崎先生は患者さんと向かい合って話を聞いていらっしゃって患者さんはきっとすごく話しやすいだろうなと思いました。患者さんは本当に山崎先生のことを信頼している様子で私たちに「山崎先生は素晴らしい医師で君達は彼に学べて幸せだよ」と話しかけてくださる方もいらっしゃったり、山崎先生に診察してもらうことを心待ちにしていたような方の姿を見ることができました。また、診察で食事について塩辛いものを食べていないかを聞く際の代表例としてポテトチップスをあげていたのはアメリカならではだな、と思いました。(控えられていないという方は少なくなかったと思います。)患者さんはどの方もご自身の健康状態や飲んでいる薬のことをしっかりと把握している方が多く、日本よりも患者さんがよく話されている印象がありました。また先生は診察の最後には「今日あなたを診れて良かった」というような言葉をかけながら握手を交わしていらっしゃって、どの患者さんも笑顔で診察を終えていました。また、患者さんが途切れたタイミングで循環器内科全般の講義を行なって下さいました。(St.Johnでも間の時間で行なって下さいました。)まず「〜について知っていることをあげて下さい」と先生が私たちに質問をしてその答えに対しフィードバックを下さり、さらに深めて理論的な部分まで教えて下さいました。一方的に講義をするという形ではなく質問しながら進めてくださったのでいつも講義を受ける時より考えさせられることが多く、深く理解することができたように思います。また薬についてもいろいろと教えて下さり、正直薬の勉強が好きではなく1番おろそかになってしまっていたのですが重要であることに気づくことができて本当に良かったです。

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St.Johnでの実習について
St.Johnはもともとは教会を中心としてできた病院で(そのため病院の中には今でもとても立派な礼拝堂が残っていました。)病院の方がどんどん拡大していき現在では病院が主な機能となっているようです。本当に大きく綺麗な病院で、病院の入口や患者さんのご家族の待機スペースはホテルのようでした。上から見ただけですが、病院の食堂のようなところもとても広々としていました。
先生はSt.Johnで循環器内科の部長とフェローシッププログラム部長をされており、病院の先生方やスタッフみんなから好かれていて、また厚い信頼を得ているように感じました。 カテを行う前には患者さんの病歴や検査結果の資料を見せて下さり、またあらかじめどういう手技を行うかを教えていただくことができました。基本的に私たちはカテ室横のcontrol roomから見学をさせていただきました。カテ室専属のナースの方がいらっしゃってその方が手術記録をされているのですがカテ中私たちに今どのような手技を行なっているかやその意義、また使用している医療機器に関してもわかりやすく説明を行なってくださり質問にも快く答えて下さいました。ナース以外の方も本当に親切にして下さって私たち3人が山崎先生がいない状態で廊下などを歩いていると「Are you lost?」と聞いて下さったりしました。またフェローの方が特に気さくに話しかけて下さいました。control roomの雰囲気は非常に和やかで皆さんとても仲良くお仕事をされているように思いました。その雰囲気と皆さんの私たちへの優しさからいい意味でリラックスして過ごさせていただくことができ、変に肩の力が入ることなく様々なことが吸収できたように思います。カテは連日のようにたくさん見させていただくことができ、画像の見方や今何をしているかが皆さんの教えもあり日に日にわかるようになっていくを感じることができました。PCI手技ではカテ前とカテ後では血管の状態が素人目にもわかるくらいきれいになっていて感動しました。またカテーテルは侵襲が少ないということもありすぐに退院することができるため、実習中にSFAの閉塞解除のカテが行われた患者さんが術後の経過観察で元気そうにオフィスでの外来に歩いて来られている姿を見ることができたことも非常に印象的でした。 入院患者さんの回診も見学させていただきましたが、いくつか驚いたことがあり日本では一部屋に4人ほどの患者さんがいらっしゃるのが一般的だと思いますが、こちらでは個室または一部屋に多くても2人ほどしかいらっしゃいませんでした。日本に帰ってから調べて知りましたが、院内感染の減少、プライバシーの保護、睡眠の質の向上を目的としているようです。また、病院食といえば質素なものというイメージでしたがポテトチップスやデザートにベリーソースのかかったチーズケーキのようなものが出ていて驚きでした。回診の際も山崎先生は私たちのことを毎回患者さんに紹介してくださり皆さん温かく接してくださいました。入院するに至った経緯を話してくださった患者さんもいらっしゃいました。また、ちょうどその日が退院の日だった患者さんがいらっしゃって本当に嬉しそうで山崎先生に対して心から感謝していらっしゃる姿がとても印象的でした。CCUにいらっしゃる重篤な患者さんからその患者さんのように比較的元気そうな患者さんまで様々な患者さんがいらっしゃいました。

2017det7.jpg以下、月〜金曜日の実習内容です。

月曜日 オフィス→St.John

7:20〜14:40
オフィスにて外来見学をさせていただきました。また別の先生のご好意で静脈アブレーションの見学もさせていただくことができ、音楽をかけながら手術をされていました!あっという間にアブレーションは終了しました。先生はいろいろ説明してくださったのですがなかなか英語が聞き取れず半分程しか理解できなかったのが非常に申し訳ないのと同時に歯がゆかったです。

14:40〜18:30
St.Johnに移動しまず2名の手術前患者さんへの説明に立ち会わせていただくことができました。説明がなされた部屋は重厚感のある立派なお部屋でTAVIに用いる自己拡張型弁とバルーン拡張型弁の模型があり次の日にちょうどTAVIが行われたのでみることができて良かったです。またSFAの完全閉塞とSTEMIに対するカテを見学させていただくことができました。

火曜日 St.John→St.John Macomb→St.John

7:00〜8:45
カテーテル準備

8:45〜10:45
St.JohnでまずTAVI見学をさせていただくことができました。二週おきと聞いていたので今週がその週であり嬉しかったです。TAVIを行った部屋は実習中に見た部屋の中で1番大きく、また部屋にいらっしゃった先生やナースの方の数も1番多かったように思いました。今回は経大腿動脈アプローチで最終的には2個の自己拡張型の人工弁を入れていました。余談ですがこの時はカテ室に私たちも入らせていただいたためプロテクターを着ることとなりました。プロテクターは非常に重くてこれを先生方は着ながら長時間過ごし、なおかつ手技をされているのかと思うとすごい思いました。アメリカのプロテクターはとてもおしゃれで色鮮やかであることに驚きました。特に先生方が個人で所有されているものはとくに素敵で、山崎先生はスーパーマンのマークの刺繍を入れていらっしゃいました。材質、重さ、形、色など自分でいろいろ選べるそうです。

11:00〜
次にSt.John Macomb移動し(St.Johnより車で15分くらいでした。)血管造影の見学と入院患者さんの回診について行かせていただきました。

15:45〜19:00
St.Johnに戻り右SFAの閉塞解除の手技を見学させていただきました。カテ室専属のナースの方がいろいろ教えて下さり、造影剤を入れた際の色の濃さで閉塞部位の硬さがわかること、shock waveという超音波を利用して血流を改善させる機器、ロータブレーターという閉塞部位を先端にダイヤモンドをちりばめた高速回転ドリルで狭窄病変を削る機器、右SFAの閉塞を狙う際に近位部に閉塞がある時は長さを持たせるため左鼠蹊部からcrossoverでカテーテルを入れることを学びました。また救急カテが入り山崎先生が当直担当であったということもあり引き受けていらっしゃいました。CAGで閉塞が見つかりPCIを行なっていました。救急ということもありいつもより緊迫した雰囲気だったように感じました。そして当直の担当ということで連絡が入れば病院に駆けつけなければならないことになっていて私たちもその際は同行させていただくことになっておりましたが、救急の患者さんはいらっしゃらなかったようです。実際に病院に駆けつけるのは3割ほどだとおっしゃっていました。その他は連絡がないか、あっても電話越しで解決できることが多いようです。ただ当直の日でなくても他に対応できる医師がいないということなどから当直の日でなくても電話がかかってきて飛び起きて病院に駆けつけることもあるとおっしゃっていました。

水曜日 St.John
この日は1日St.Johnの日で計7例もの症例を担当されていました。

7:30〜10:20
1例目はIIA度の間欠性跛行(300m以上歩行可)が見られる症例で大腿動脈に狭窄がみられました。Caが沈着して硬化し血管が狭窄してしまっているとのことでした。生活習慣が原因とのことです。この日はIVUSという細い超音波カテーテルで血管の断面図、狭窄病変の性質(危険度)など詳細な病変情報が得られる検査が行われていました。IVUSはこの症例以外でもたびたび行われていました。この検査を専門にされている方がいてその方がいつも登場されおり、私たちにも画像の見方や原理などを詳しく教えてくださりました。その方によるとIVUSはアメリカでは一般的に全症例のうち20%ほどしか使われないそうですが、その一方で日本では90%ほどの症例で使われるそうで「日本はIVUSのディズニーランドだ!」とおっしゃっていました。山崎先生はIVUSを50%ほどの症例に対して使われているそうです。また今回もshock waveが用いられ、またHawkoneというプラークを削りながら削り取ったものを回収することができる機器を使用していました。このカテの終了後削り取ったものを見せていただくことができ、細長いチーズのようでした。またこの症例前にABIの計測の方法についても詳しく教わることができました。

10:40〜11:00
2例目は足が壊死されていた症例で以前angioplasty を行った部位の現在の状況を調べ、さらにどこの狭窄が原因で壊死しているのかを調べ治療対象なのかどうかを調べるというものでした。今回は足背動脈のみでの狭窄でカテによる治療対象ではないということでした。

12:00〜13:10
3例目はRandomizationの治験が行われた症例で、この時とてもたくさんのプロパーさんがいらっしゃいました。LADの狭窄がもとより認められていてその解除をこの日は行う予定だったらしいのですが、RCAにも狭窄が認められたためそちらの解除をこの日は行うことになりました。この症例が開始される前、たくさんの人で議論が行われていました。このRandomization試験はロータブレーターを使用した場合と使用しない場合を比較するものでこの人は使用しない方の適応だったためロータブレーターは使用せずにEvelolimus溶出性ステントを用いてカテは行われました。造影剤の腎臓への負担などを考慮すると1日で行うのは難しいとのことで、LADに関しては金曜日に行うということでした。

13:20〜13:50
4例目が行われたのですがこの時間はフェローの方が私たち3人に話しかけてくださり楽しく話させていただいている間に終わってしまいました…(笑)

14:20〜15:05
5例目は呼吸困難があり、BNP値が上昇している症例で虚血部位があるかどうか検査を行うものでした。治療を要する虚血部位はなかったようです。

15:50〜17:20
6例目はLCXの起始部異常がある症例で右冠動脈洞より出ていました。RCAとLCXの起始部に狭窄があり、先にRCAに対してPCIを行い続いてLCXの起始部に対してPCIが行われました。先にLCXの起始部へのPCIを行うとステントが万が一ずれてしまった場合にRCAへのステントが入れられなくなるためとのことでした。少し困難な症例だったそうですがカテ後の画像をみるとカテ前と同じ人の血管とは信じられないほどRCAもLCXもきれいな血管となっていて、周りのスタッフの方も素晴らしいと話していて先生自身も満足そうにされていました。

17:30〜17:40
最後の7例目は大動脈弁の動きが正常かどうかを調べる症例で、この患者さんの弁は生体弁で私は個人的に生体弁の動きを見たのは初めてだったので今回見れてよかったです。結果としてはきれいに動いており異常なしとのことでした。

木曜日 St.John→オフィス

7:00〜8:00
この日はまずカンファレンスに参加させて頂きました。約20〜30人の方が参加されていました。secret caseという形式で行われプレゼンテイターだけが何についての症例かがわかっていてみんなで何の症例かを考えていくというものでした。具体的な内容としては肺塞栓症についての症例でカテを行うべきか血栓溶解薬を使うかを考えるというものでした。ただ正直内容はきちんとはわからなかったのですがアメリカのカンファレンスの雰囲気は味わうことはできて私としては財産となりました。立場関係なくみんななにか疑問や意見があれば活発に発言がなされていました。

8:30〜12:00、13:00〜17:30
オフィスに移動し1日外来見学をさせていただきました。
この日は日本人の患者さんがいらっしゃって驚きました!

金曜日 St.John→オフィス

7:00〜8:00
St.Johnにてインターベンションカンファレンスが行われフェローの方が最近担当した症例について反省点なども含めて発表するというものでした。このカンファレンスはフェローの方3人とフェローの指導医にあたる先生2人(山崎先生含め)の計5人で行われました。私たちにも理解できるように解説をはさみながらカンファレンスを進めて下さいました。水曜日に行われたLCXの起始部異常があった症例も扱われており、今回のカンファレンスの内容は昨日のものよりもしっかりと理解することができたように思います。
この日はカンファレンス後2例のカテが入っていました。

8:20〜10:30
1例目は水曜日に行われたRandomizationの症例の続きで今日はLADの狭窄解除が行われました。この患者さんはロータブレーターを使用しない方だったのでLADについてもRCAの狭窄に対して行なったのと同じ方法を取る予定でしたがロータブレーターを使わないと狭窄解除が難しいと判断され様々な議論が行われた後、LADの狭窄についてはロータブレーターを使用することとなり、結局この患者さんはロータブレーターを使用した患者さんという扱いになったようです。Randomizationの治験に立ち会うのは初めてでしたが公正に行うために現場ではこういう労力が払われていたことを目にすることができていい経験をさせていただけました。今回の治験のマニュアルも見せていただくことができましたが、細かいところまで厳密に決められているようでした。

10:30〜
2例目は検査目的のカテが行われました。

12:30〜
オフィスに移動し外来見学をさせて頂きました。

 

3.最後に

このデトロイトで過ごさせていただいた1週間は私の人生の中で最も刺激的で楽しかった1週間と言っても過言ではないくらい素晴らしい1週間でした。今まで私は海外に旅行として行ったこともほとんどなく、ましてや実習として行くのは初めてで不安もいっぱいあったのですが、思いきって立候補して心から良かったと思っております。
この実習を通して1番痛感したのは自分の英語力のなさでした。聞き取ることは多少はできるだろうと安直なことをデトロイトに行くまでは思っていましたが実際に行くとスピードも早く非常に厳しかったです。心から英語を聞き取り話せるようになりたいと思いました。
この研修が自分の現在の学生生活の過ごし方、そして将来のキャリアについての考え方に大きく影響したことは間違いありません。また見ず知らずの私たちにこんなにもよくしてくださった山崎先生と奥様の温かく、素晴らしいお人柄に触れて人間としても成長したいと心から思いました。
今回学んだこと、感じたことを忘れず残りの学生生活を悔いの残らないように過ごしたいと思います。
お忙しい中このような素晴らしい機会を与えてくださった山崎先生、毎日美味しいご飯を作ってくださりいろいろ気遣ってくださった奥様に重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


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