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京大病院循環器内科の歴史

本教室は、1909年5月に第3内科学講座として設置され、開講しました。

京大病院循環器内科の歴史を語る、日本初のテーブル型心電図
日本初のテーブル型心電図
医科大学(現医学部)の組織実習の様子(1914年ごろ)、京都大学ホームページより
医科大学(現医学部)の組織実習の様子

初代:賀屋隆吉教授(任期1909-1916)

賀屋隆吉教授賀屋隆吉教授がこの講座の担当を命ぜられました。
賀屋は病態生理の究明を主眼にして、治療はそれに従うという方針をとりました。薬剤のみの治療から、電気治療や食事療法の併用の必要性を説き、理学的診療、病態栄養の基礎を築きました。さらに内科学の指導者は基礎医学の一つに徹することを説き、本学内科学の一学風をなす先陣となりました。松尾巌、真下俊一教授らはその育英に浴しました。

2代:島薗順次郎教授(任期1916-1924)

島薗順次郎教授島薗順次郎教授は、賀屋が退官した後、岡山大学から転任し、本講座を担当しました。
島薗は神経病学、脚気において既に著名であり、その延長上の研究とビタミンに目を向けていました。脚気の本態究明、治療、予防は当時、国民保健の一大関心事でしたが、これについて本講座では、白米主食による罹病素因と、種々の誘引である理論を明らかにして治療に結び付け、1919年の内科宿題報告として業績がまとめられました。島薗は1924年に東京帝国大学に転任しました。

3代:真下俊一教授(任期1924-1946)

真下俊一教授真下俊一教授は助教授から昇任しました。
研究の立脚点を物理学におき、内科新領域と循環器系の研究に従事しました。1926年の内科宿題報告に、血行路の機能的診断と、その治療において真空管増幅による心音、心電図、脈波図の記録を業績として報告しています。この循環器系における物理学的現象の究明に関する業績に対して、帝国学士院賞が与えられました。また、真下は、昭和11年に日本循環器学会を創立し、機関紙を創刊しました。しかし、1945年に広島原爆被害調査のため教室員と出張中に不慮の死を遂げました。

4代:前川孫二郎教授(任期1946-1965)

前川孫二郎教授前川孫二郎教授は助教授から昇任して本講座を担当しました。
前川は、心電図理論に関して独自の層対電説を提唱して、電位心電図の意義を明らかにしました。また、前川は未分化といえる医学に論理を与えるという命題に立ち向かいました。前川の業績は多岐にわたり、しかもその独自性、先進性は群を抜いていました。その研究は強心剤、冠循環、腎疾患、脳血管障害、脈管障害と循環器疾患の全体にわたり、日本循環器学会を指導しました。医学が究極の対象とするものは"病める人間"であり、したがって"物"と"心"が同時に対象とされる新しい科学の樹立を目指しました。

5代:高安正夫教授(任期1965-1973)

高安正夫教授高安正夫教授は三重県立大学から転任しました。高安は電子顕微鏡による伝導系の微細構造を明らかにし、臨床医学のテーマを治療のみならず予防にも向けました。
折しも大学紛争の勃発を見、研究の中断が余儀なくされましたが、学内の問題解決に奔走しました。工学部の協力を得て開発された心放射図は、新しい循環動態解析法であり、この方法論による各種心疾患の解析結果は1973年の内科学会頭講演として発表されました。

6代:河合忠一教授(任期1973-1991)

河合忠一教授河合忠一教授は高安の退官の後、大阪医科大学講師から本講座を担当することとなりました。
心筋症の研究をLife Workとし、"特発性心筋症"の厚生省研究班長として、わが国の心筋症の実態調査と治療法の開発に努力しました。拡張性心筋症の免疫学的機序の解明、さらにβ遮断薬の治療的有用性等は1989年の内科学会総会の宿題報告として発表されました。また、心筋梗塞急性期の血栓溶解法にも早くから注目して全国的な研究班を作成し、その普及にもあたりました。

7代:篠山重威教授(任期1991-2001)

篠山重威教授篠山重威教授は、河合の退官の後、富山医科薬科大学教授から転任しました。
既に心臓のメカニズムに関してはこの方面の重鎮でしたが、代償性肥大から心不全に至るラットモデルの開発に成功し、心不全への移行における細胞内情報伝達機構や分子レベルの異常、さらにサイトカイン等の免疫の関与により心不全の病態、治療に新しい報告を行いました。これらの発見により心不全の病態、治療に新しい方向性が世界に示されました。これは1998年の内科学会で宿題報告としてまとめられました。また、"心筋症研究班"の班長として活躍し、さらに 1996年には京都に事務局を置く日本心不全学会を創立して初代会長の任を得、2000年には内科学会の会長、2001年には循環器学会の会長を務めました。

8代:北徹教授(任期2003-2008)

北徹教授北徹教授は、京都大学加齢医学講座教授より転籍し、本講座を担当しました。脂質代謝、動脈硬化を専門分野とし、動脈硬化研究に関する文部科学省特定領域研究の班長を務め、また、日本動脈硬化学会理事長として、我が国の当該分野の研究を牽引されました。2010年の日本循環器学会学術集会会長です。また、2005-2008年は京都大学理事・副学長として、京都大学の運営に携われました。

9代:木村剛教授(任期2009-2022)

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木村 剛教授は、小倉記念病院を経て2002年8月に循環器内科助教授として京大病院に着任し、2009年4月より本講座を担当しました。「救急患者を断らない」をモットーにホットラインを開設して、循環器救急医療を重視しました。研究面では診療プラクティスを変えるような大規模臨床研究を多数推進し、それらの研究成果をもとに日本の循環器診療を大きく変えました。また、2020年にはCOVID-19の蔓延の中、日本循環器学会を初めてオンラインで開催し大成功を収めました。

10代:尾野亘教授(任期2023-)

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現教授


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