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教授挨拶

木村剛平成21年5月1日の循環器内科教授就任にあたり、教室の研究、診療、教育の方向性に関して下記のような構想を述べさせていただきました。

  私は平成14年8月に京都大学循環器内科に着任して以来、日本人の循環器疾患の治療成績を大規模に検証する多施設研究を推進してまいりました。そのような研究の結果が蓄積される中で、動脈硬化性疾患の予後に関して日本と欧米では大きな差があることが明らかになってまいりました。我々は日本人患者を治療するわけですから、日本人の治療成績に基づいて診療プラクティスが規定されるべきであるというのは当然のことです。
これまで循環器疾患の多施設研究を推進するための仕組みづくりを行ってきました。今後は、これまでに築き上げた多施設研究のネットワークを活用して、診療プラクティスに指針を与えるような大規模研究を推進して行きたいと考えております。臨床研究をさらに円滑に施行するために、臨床研究の企画、遂行、統計解析、論文執筆などに通じたスタッフの充実した臨床研究推進組織を構築する所存です。京都大学循環器内科を日本の循環器臨床研究の拠点とすることは私の大きな目標です。
  一方で、京都大学循環器内科には多くの優れた基礎研究者が所属しており、研究活動に邁進しております。基礎研究者と臨床研究者が緊密にコミュニケーションをはかることで、基礎研究者にとっては研究を臨床のニーズに沿った方向に向け、新しい治療法の開発が促進されるはずです。さらに、新たな治療デバイスの開発のためには、交流を教室内の基礎研究者のみならず工学系、材料系、薬学系の研究者に拡げることが重要ですが、京都大学はこれらのフィールドにおいて多くの優れた研究者を擁しております。その意味で新たな治療デバイスの開発にあたり京都大学循環器内科が中心的な役割を担いたいと考えております。
  私はこれまで、「京都大学循環器内科の臨床活性化」を目標として診療にあたって参りました。教官や多くの若手医師の頑張りで入院患者は顕著に増加し、多くの患者さんに御満足いただき、地域における信頼も得られてきたと自負しております。今後も「救急患者を断らない」という現在の診療スタンスを維持し、より質の高い医療の実践を追求していきたいと考えております。
  現在問題となっている医師不足、特に激務を要求される勤務医が減少していく中で、今後は循環器領域においても地域の救急診療をカバーするための新しい枠組みが必要となる可能性が高いと考えます。勤務医の負担を軽減しつつ、良質な救急診療を維持するためには、循環器救急担当施設の拠点化と拠点施設への人員の集中が必須であります。京都大学病院が循環器救急の拠点施設たりうるためには、新しい枠組みが構築される前に、さらなる診療の活性化をはかり、より多くの患者を受け入れ、地域医療に貢献する努力を継続することが必要です。また京都大学病院で十分な数の勤務医を適正な労働条件で雇用するためには、診療内容を医師にとって魅力的なものとすると同時に、十分な収益を確保できる体質とすることが必要です。患者数の増加は大規模臨床研究推進において中心的役割を担う上でも必須であり、「京都大学病院循環器内科の臨床活性化」は引き続き掲げるべき重要な目標であります。医療崩壊と言われる、前例がない程の大きな問題に直面している日本の医療において、教育はますます重要な課題となってきております。医療の現場を担うべきは若手医師です。医学部学生、初期研修医、後期研修医といった若者と接することの多い医学部教官は、医療の現場を担う覚悟を持った若手医師を育てなければなりません。
京都大学循環器内科の後期研修医教育の目指すところは、循環器診療についての幅広い知識を有し、基本的手技を修得し、かつ患者に共感を持つことのできる循環器内科医を育てることにあります。
  勤務医が不足する中で、若手医師ができるだけ早い時期に循環器内科専門医として自立することは重要です。この観点から、後期研修医には2年間の研修期間中に循環器内科医として必要とされる基本手技が習得できるようなプログラムを作成しております。実際に、このプログラムを終了した現在卒後5年目、6年目の医師は、診療の現場で独り立ちした循環器内科医として活躍しております。
  若手医師にはバランスのとれた臨床医であるだけではなく、将来、国際的な情報発信ができる臨床研究者として成長するための基礎を身につけていただきたいと強く願っています。そのために必要な動機付け、臨床研究企画や統計解析の基礎についての指導など、多くの教育機会を提供いたします。京都大学循環器内科は多くの循環器多施設臨床研究の拠点として活動しておりますが、ここでは若手医師が臨床研究企画やデータ解析に従事し、論文執筆を行う体制も構築されています。
  我々は今後の日本の循環器医療の向上に大きな貢献をする決意です。この大きな目標を達成するために、皆様の御指導、御支援を宜しく御願い申し上げます。

  このような御挨拶をさせていただいてから早く5年が経過いたしました。診療、研究、教育のそれぞれの分野において目標達成度には若干の違いがあるかもしれませんが、概ね目指した成果を挙げることができたと自負しております。今後、京都大学循環器内科において健全な診療、研究、教育をさらに推進して行くためには、ただ一つ「真実を求めるという真摯な態度を失わない」ことに尽きると肝に銘じて努力していく所存です。
平成26年4月14日
京都大学医学部附属病院 循環器内科
教授 木村 剛

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